鍋島 虎仙窯とは
その鍋島青磁をもっと多く焼成できるようにと、長年に渡り研究開発してきたのが「鍋島虎仙窯」です。
研究から10年ほど経ち、ようやく優れた焼成ができるようになってからは、かつては高級品だった鍋島焼が、現代の生活に合わせて身近で手に取りやすい存在になってきました。
また、虎仙窯は今では希少な登り窯を保有し,女性工芸士が在籍していたりと、他の窯元とは一線を画す存在です。
虎仙窯では代々受け継がれてきた美術的価値と熟練した技術を生かし、安全かつ高品質で毎日手に取りたくなるような鍋島焼を作っています。
天然の鉱石を使用した、受け継がれる青磁
鍋島青磁とは
肥前鍋島藩の藩窯、大川内山で採れる天然の鉱石を使用して作られたものです。
鍋島青磁は、鍋島藩が三百六十年前に青磁陶石を求めて伊万里市大川内山に移ってきて以来、技術が今に受け継がれている青磁です。
自然の青翠色の光沢が神秘的な美しさをかもしだし、潤いのある優雅な色合いを表現できる青磁磁器です。
貫入とは
プレーンな翡翠色の青磁と、シャープな模様が大胆に入る貫入青瓷(かんにゅうせいじ)の違いは「土」です。
磁器用の粘土を使う青磁とは異なり、貫入青瓷は陶器用の土を使う事で「貫入」と呼ばれる「ひび割れ」が生まれます。
貫入青瓷の製品は使用する度に、ひび割れが進んでいく事で経年変化を楽しむことができます。
世界に誇る大名の日本磁器「鍋島焼」
17世紀から19世紀にかけて高級磁器として作られていた鍋島焼。
鍋島とは現在の佐賀県(佐賀藩・鍋島藩)にあたります。
佐賀には有田焼や波佐見焼の産地として有名な有田町・波佐見町がありますが、そこから北に位置する伊万里市大川内山という地域で、将軍や大名への贈答用にと高級品を多く製造するようになり、その後「鍋島焼」と呼ばれるようになりました。
しかしながら明治初期にその伝統が途絶えることになってしまうのですが、のちに近代工芸として息を吹き返し現代に至ります。
現代においても代々受け継がれてきた美術的価値を守るために伝統を大切にしながら新しい表現方法を取り入れるなど様々な取り組みが行われています。
鍋島焼の特色とその美しさ
高級品として多くの人々に愛され歴史を刻んできた鍋島焼。
手に取るとまるで時が止まったかのような静けさと品があり、その美しさに引き込まれてしまいます。
鍋島焼は色鍋島、藍鍋島、鍋島青磁といった3つ高度な技法により生み出されています。
中でも鍋島青磁は、大川内山で採れる希少な青磁原石によって作られており、神秘的な青緑色が特徴です。
天然の青磁は色のゆらぎやムラも多いため、粘土との相性が良い原石を安定して採取し製品に至るまでがとても難しいのです。
さらに美しい発色を出すために、希少なその青磁をたっぷりと使用しなければならず、わたしたちが鍋島青磁を手に取るまでには、想像以上の手間と時間を経ていることがわかります。